犬のしつけコラム第14回「反省したのにまたやった!分かってるのにわざとやってる!!」 ――その物語、本当にそこまで分かってる?

Prism Dog School

2026/10/26 12:00

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🕵️‍♂️ 第14回:【3行で解説!】その「わざと」、本当に分かってる?
1. 見えた行動と、その理由は同じではありません。

2. 「反省顔」に見える行動も、「悪いことを理解した証拠」とは限りません。

3. 「この子は、なぜこうしたんだろう?」その問いを残しておくことが大切です。

留守番から帰ってきたら、いつもと違う場所におしっこ。

「もう! わざとでしょ😡」
「留守番させたから、嫌がらせしたんじゃない?」

こんなふうに思ったことはありませんか?

でも、本当にそうでしょうか。

たまたま間に合わなかったのかもしれない。
いつもと何か環境が違ったのかもしれない。
身体的な理由があるのかもしれない。
もしかしたら、不安だったのかもしれない。

もちろん、この中のどれかが正解だとすぐに判断できるわけではありません。

まだ、分からない。

実際に見えたのは、「留守番中、いつもと違う場所に排泄した」ということ。

そこに「わざと」、「嫌がらせ」という名前をつけた瞬間、私たちは理由まで分かったような気持ちになってしまいます。

でも、もし本当は不安だったとしたら。

「わざと」「嫌がらせ」で話を終わらせてしまった時、その子の不安な気持ちはするりと零れ落ちていきます。

 

似たことは、「反省しているように見える顔」でも起こります。

何かしてほしくないことをした犬を叱ったら、頭を下げる。
視線をそらす。
身体を低くする。

「ほら、反省してる。悪いことだって分かってるんだ」

ところが、しばらくするとまた同じことをする。

「反省したのに、またやった😡」
「分かってるのにやってる!」
「やっぱり、わざとじゃん!」

でも、ここにも一度立ち止まって考えたいことがあります。

「反省顔」について調べた、こんなユニークな実験があります。

犬の前に「食べてはいけないおやつ」を置き、飼い主が部屋を離れます。
その後、犬が実際におやつを食べたかどうかと、飼い主に叱られたかどうかを分けて比べました。
ところが――

本当はおやつを食べていない犬でも、飼い主に叱られると「反省しているように見える行動」が多く見られました。

そして実験全体で見ると、「反省顔」に見える行動と関係していたのは、おやつを食べたかどうかではなく、飼い主に叱られたかどうかでした。

つまり、「反省しているように見える」ことだけでは、犬が「自分は悪いことをした」と理解している証拠にはなり得ないんです。
さらに別の研究では、犬がこうした「反省顔」を見せると、叱る程度を弱めると答えた飼い主もいました。

では、もし、

飼い主に叱られる
↓
「反省顔」に見える行動をする
↓
飼い主が叱るのをやめる

という経験が繰り返されていたら?

犬にとって、その行動をすることで嫌な状況が弱まる、という学習が起きる可能性も考えられます。

「反省顔」に見える行動が何を意味しているのかは、その犬と、その時の状況を見なければ分かりません。

それなのに、人の側ではそれを、

「叱ったから、悪いことだと理解して反省した」

と受け取っていたらどうでしょう。

次に同じことが起きた時、

「分かっているのに、またやった」
「わざとやっている」
という解釈は、ますます強くなり――
犬の行動が、その解釈が正しいことを証明しているように見えてしまう。
そんなループに陥る可能性もあります。

 

これは、「わざと」「反抗」「嫌がらせ」のような、ネガティブな言葉だけの話ではありません。

たとえば、

「尻尾を振っているから、喜んでいるはずなのに」

これも、よく聞く言葉です。

犬は、嬉しい時だけに尻尾を振るわけではありません。

うちのひなきも、犬が近づいてくると、ゆっくり尻尾を振ることがあります。

そして、さらに距離が縮まり、彼女の閾値を超えると、ぎゃーーー😱と吠えます💥

あの尻尾が何を意味しているのか。

私は、「嬉しいんだね」の一言だけで終わらせることはできません。

「尻尾を振っている」は、私が見たこと。
「喜んでいる」は、そこから私が読み取ったこと。

この二つは、同じではありません。

分からないことを、分かったことにしない

私たちは、犬の行動を見た時に、そこに意味をつけながら暮らしています。

それ自体が悪いことだとは思いません。

私だって毎日、

「これ嫌だった?」
「今の楽しかった?」
「何が気になったんだろう?」

と、犬たちの行動から気持ちを考えています。

でも、

「嫌がらせ」
「反抗」
「反省している」
「喜んでいる」

そんな一つの言葉で答えを出した時。

そこから零れ落ちてしまうものはないでしょうか。

見えたことと、そこから考えたことは、同じではありません。

分からないことを、早く分かったことにしない。

「この子は、なぜこうしたんだろう?」

その問いを残しておくこと。

私は、それが犬を見る時に、とても大切なことだと思っています。

【参考文献・資料】

Horowitz A. Disambiguating the “guilty look”: Salient prompts to a familiar dog behaviour. Behavioural Processes. 2009;81(3):447–452.
DOI: 10.1016/j.beproc.2009.03.014

Hecht J, Miklósi Á, Gácsi M. Behavioral assessment and owner perceptions of behaviors associated with guilt in dogs. Applied Animal Behaviour Science. 2012;139(1–2):134–142.
DOI: 10.1016/j.applanim.2012.02.015

Quaranta A, Siniscalchi M, Vallortigara G. Asymmetric tail-wagging responses by dogs to different emotive stimuli. Current Biology. 2007;17(6):R199–R201.
DOI: 10.1016/j.cub.2007.02.008

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