犬のしつけコラム第9回【前編】首輪と鑑札、24時間の守り ――あの日、福島で千切れた絆を繋ぎ直すために

Prism Dog School

2026/07/06 12:00

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犬のしつけコラム第9回【前編】
首輪と鑑札、24時間の守り
――あの日、福島で千切れた絆を繋ぎ直すために

保護当時のひゅうがなつ

(当時のなっちゃん)

🐕‍🦺私の隣で穏やかに昼寝をしている愛犬、ひゅうがなつ(通称なつ)。彼は2011年12月、福島県浪江町の警戒区域内で保護された男の子です。

保護されたとき、彼の首には二本の首輪がついていました。けれど、それまで誰と、どこで、どのように暮らしていたのかは分かりません。

東日本大震災、そして原発事故。

当時、東日本大震災東京都動物救援センターでボランティアをしていた私は、現場の凄絶な話を耳にしました。痩せ細った体で、繋がれたまま生き延びた子。人の姿を見て、安堵したように息を引き取った子。

そんな極限状態から命を救い出した後、救い出せたと安堵する間もなく次の大きな課題が目の前に立ちはだかりました。

🛣️ 飼い主へと続く道が、どこにもない

救出された犬たちの多くが、飼い主さんと再会できないか、再会できるまでに非常に長い時間を要しました。本来の飼い主さんが見つかる前に虹の橋を渡ってしまった子もいました。

その大きな理由のひとつは、とてもシンプルなものでした。

首輪をしていなかった。首輪はあっても、鑑札や迷子札がついていなかった。目の前にいるこの子が、「誰の家族なのか」を示すものがなかったのです。

なつもそうでした。二本の首輪をつけていましたが、そこに彼が「誰の家族か」を示す情報は何もありませんでした。

私の大切な家族ですが、元の飼い主さんと再会させてあげられる道は、あの日からずっと閉ざされたままです。「もし飼い主さんが現れたら元の飼い主さんにお返しする」という契約を交わして家族に迎えましたが、家族に迎えてから十年以上が経った今も、彼の「本当の名前」すら、私は知らないのです。

後編へ続きます

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