犬のしつけコラム第9回【後編】首輪と鑑札、24時間の守り ――あの日、福島で千切れた絆を繋ぎ直すために
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犬のしつけコラム第9回【後編】
首輪と鑑札、24時間の守り
――あの日、福島で千切れた絆を繋ぎ直すために
🎫 鑑札は「再会への切符」
狂犬病予防法では、犬の登録と、鑑札・注射済票の装着が定められています。現在は、一定の条件を満たしたマイクロチップを鑑札とみなす制度もあります。
ですが2011年、あの現場に携わった者として、私にとって首輪につける鑑札は「愛する家族と一分一秒でも早く再会するための切符」です。
もちろん、マイクロチップは大切な身元確認の手段です。
でも、災害現場では外から見ただけでは装着されているか分かりません。読み取るには専用のリーダーも必要です。
だから私は、マイクロチップだけで安心してほしくありません。首輪につける鑑札や注射済票、迷子札など、目に見える「あなたの家族である証」も、24時間身につけさせてあげてほしいのです。
これは、なつ一頭だけの話ではありません。
東日本大震災後に環境省が10県市を対象にまとめた記録では、飼い主不明として動物救護施設に保護収容された犬のうち、首輪のみ(迷子札なし)だった604頭で、首輪によって飼い主が判明したのは85頭(14%)でした。一方、鑑札・狂犬病予防注射済票のどちらか一方または両方をつけていた81頭は、81頭すべてで飼い主が判明しています。
なつは、二本の首輪をつけていました。
それでも、そこに彼が「誰の家族か」を示す情報はありませんでした。
「うちは室内飼いだから」「お散歩の時だけつければいい」。
そう思うかもしれません。でも、災害はいつ、どんな形で日常を奪うかわかりません。パニックで外へ飛び出してしまった時、その子の首についている小さな金属片が、飼い主であるあなたへと続く道を残してくれます。
福島で起こったこと、そしてなつが教えてくれたことを伝えるのは、ドッグトレーナーとしての私の義務だと思っています。
今、あなたの隣にいる可愛い家族のために、どうか最善の備えをしてあげてください。
24時間、その子が「あなたの家族である証」を身につけさせてあげてください。
それが、あの日繋がれなかった多くの絆への、
私たちができる一番の供養だと信じています。
参考資料・関連情報
・環境省『東日本大震災における被災動物対応記録集』「東日本大震災におけるペットの被災概況」p.26、表39「所有者明示等の表示物の装着状況」
環境省資料を見る
・厚生労働省「犬の鑑札、注射済票について」
厚生労働省の案内を見る
・環境省「動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置について」
環境省の告示を見る